日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ新規カチオン結合タンパク質AtPCaP1のもつユニークなカチオン結合性と銅イオン特異的な構造変化について
*長崎 菜穂子宮野 雅司前島 正義
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p. 0529

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抄録
シロイヌナズナの新規カチオン結合タンパク質AtPCaP1 (Arabidopsis thaliana plasma-membrane associated cation-binding protein 1) はNミリストイル化とPI(3,5)P2との結合によって細胞膜に局在する。アミノ酸225個で構成され,GluとLysの総含量が約35%と多く,類似する既知タンパク質はない。生理的機能は不明である。本研究では生化学的機能解明の一環として,カチオン結合性の解明を目的とした。
大腸菌発現系をもちいてPCaP1を発現させ,これを高収率で,高純度標品として大量精製した。CDスペクトル解析とDSC(示差走査熱量計)による熱力学的解析より,2価のカチオンを特異的に結合して構造変化する性質が判明した。また,イオンの結合とタンパク濃度の上昇により変性温度が低下するというユニークな特徴も明らかになった。蛍光スペクトルとUV吸収スペクトル,分析ゲルろ過CGを用いた解析により,2価カチオンの中でも,Cu2+特異的に結合して高次構造変化する性質を見出した。興味深いことに,HisもCysも存在しないタンパクでありながら,10 μMという解離定数をもち,1分子あたり8個のCu2+が結合するという結果が得られた。その他、詳細な結果も合わせて生理学的役割を考察したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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