日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ユーグレナアスコルビン酸生合成経路の同定と解析
*石川 孝博西川 仁澤 嘉弘柴田 均薮田 行哲丸田 隆典重岡 成
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p. 0533

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抄録
光合成真核藻類ユーグレナのアスコルビン酸生合成は、植物のマンノース/ガラクトース経路とは異なり、ウロン酸を代謝中間体とする経路を辿ることが報告されているが、同経路の構成酵素は未解析である。本研究では、ユーグレナのウロン酸経路構成酵素および関連遺伝子を単離し、同経路の解析を試みた。ユーグレナ細胞から、ガラクツロン酸還元酵素(D-GalUAR)およびL-ガラクトノ-1,4-ラクトン(L-GalL)脱水素酵素(L-GalLDH)を精製した。またEST情報よりアルドノラクトナーゼ(ALase)の全長cDNAをクローン化後、大腸菌で組換え体ALaseを発現・精製した。D-GalUARのD-ガラクツロン酸とD-グルクロン酸に対するKm値は、それぞれ 3.79 ± 0.5 mM と 4.67 ± 0.6 mM であり、組換え体ALaseのL-ガラクトン酸とL-グロン酸に対するKm 値は、1.55 ± 0.3 mMと4.55 ± 0.23 mMであった。一方、ミトコンドリアから精製したL-GalLDHは、L-GalLに対して高い親和性(Km=0.21 mM)を示した。ユーグレナ細胞にALaseの二本鎖RNAを導入したところ通常培地では細胞の生育が抑制されたが、L-GalL添加により生育は回復した。以上の結果より、ユーグレナのアスコルビン酸生合成は、ガラクツロン酸経路が主経路であることが明確になった。
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© 2008 日本植物生理学会
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