日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

分光電気化学的手法によるAcaryochloris marinaの光化学系I一次電子供与体の酸化還元電位計測
*加藤 祐樹鞆 達也仲村 亮正土屋 徹三室 守渡辺 正
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0548

詳細
抄録
Acaryochloris marinaは、クロロフィルd(Chl d)を主要色素とするシアノバクテリアである。A. marinaの光化学系(PS)I、IIはこれまでに機能や構成成分の解析が進められ、反応中心でもChl dが機能していることが明らかにされてきた。PS Iの一次電子供与体もChl dとされているが、その酸化還元電位はHuらが1998年に+335 mV(vs. SHE)と報告して以来、他生物のPS I一次電子供与体(P700)に比べ100 mVも卑と認識されてきた。しかし、その後+425 mV(Benjamin et al. 2007)あるいは+458 mV(Telfer et al. 2007)という報告がされており、必ずしも統一的な認識だとは言い難くなっているといえる。そこで我々は、これまでに測定してきた他生物のP700酸化還元電位と同一条件で比較することを目的に、高度に純化したPS I標品を対象に分光電気化学的手法を適用し、A. marina PS I の一次電子供与体の酸化還元電位を計測した。結果、+439 ± 2 mV(n = 6)となり、これまでに調べたシアノバクテリアThermosynechococcus elongatus(+423 mV)やSynechocystis sp. PCC6803(+455 mV)などとは大きく異ならないことを見出した。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top