日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヘリオバクテリア Heliophilum fasciatum からの NADP+ 光還元能を有する光化学反応中心の部分精製
*志賀 倫子小川 拓郎瀬尾 悌介桜井 英博井上 和仁
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p. 0551

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抄録
ヘリオバクテリアは絶対嫌気性のグラム陽性細菌に属し、光化学系Iと同様の鉄硫黄型の反応中心を持つが、コア反応中心はPshAから成るホモダイマーであり、より始源的な特徴を有する。一般に、鉄硫黄型の反応中心はフェレドキシンを介したNADP+ 光還元が可能であるが、ヘリオバクテリアにおいての証明は行われていない。今回、我々はヘリオバクテリア Heliophilum fasciatum の反応中心を嫌気下で界面活性剤を用いて可溶化し、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーによって部分精製した。また、H. fasciatum から三種のフェレドキシン(Fd) Fd A、Fd B、Fd Cを嫌気条件下で、硫安分画、陰イオン交換クロマトグラフィー、さらに、疎水性クロマトグラフィーによって単離精製した。精製されたFdの吸収スペクトルとESRスペクトルは、2[4Fe-4S]型のFdのものとそれぞれ一致した。それぞれのFdを4℃、空気下で曝し、385 nmでの吸収を測定した所、FdBとCは20時間後も吸収の減少を示さなかったが、Fd Aは約2時間で吸収が半減し酸素感受性を示した。ホウレンソウFNRを加えてNADP+ 光還元活性を調べたところ、Fd BとFd Cは高い活性を示したが、Fd Aは活性をほとんど示さなかった。
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© 2008 日本植物生理学会
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