日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ受精卵における受精点と第一分裂面の位置関係
*中島 敬介岡本 龍史
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p. 0621

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抄録
被子植物の受精卵は、不等分裂し将来の発生運命が異なる2個の娘細胞(頂端細胞および基部細胞)を生じる。いくつかの動物種においては、受精点(精子侵入点または精子融合点)が初期胚発生の過程において位置情報として機能していることが知られている。本研究では、植物における受精点と受精卵の第一分裂面の位置関係を明らかにするため、イネ in vitro 受精系を用いた解析を行った。
精細胞と卵細胞を単離し、精細胞膜を蛍光レクチンで染色したのち、卵細胞と in vitro 受精させることにより受精点を標識した。その後の受精卵培養の際に蛍光標識された受精点が消失してしまうことから、受精卵の固定培養法を確立し、その後の発生過程を観察した。その結果、受精点と第一分裂面の位置との関連性は明確には見られなかった。このことから、イネ受精卵では受精点が第一分裂面決定への位置情報として機能していないことが示唆された。
また、卵細胞自体の極性に注目すると、in vivo では、珠孔側に細胞質に富んだ領域と核、合点側に液胞に富んだ領域が偏在していることが確認されている。単離した卵細胞においてもこの細胞局在は維持されており、また、その極性は受精卵中において再構成されることが示唆された。これら極性の形成・維持にアクチン繊維が関わっている可能性が高いことから、卵細胞および受精卵のアクチンを可視化し、卵細胞および受精卵における動態観察を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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