日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナpolypyrimidine tract-binding タンパク質(PTB)の機能解析
*Wang Shuyi岡本 龍史
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p. 0645

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抄録
PTBはhnRNP typeIに属するRNA結合タンパク質である。動物細胞においては、mRNAの細胞内輸送、代謝および選択的スプライシングの制御といった様々な役割を担い、発生・分化などに深く関与することが明らかにされている。植物PTBタンパク質のデータベース検索により、シロイヌナズナにおいては2種のPTB(AtPTB1,2)が同定され、AtPTB1および2は成熟花粉粒と柱頭で強く発現し、さらに、珠柄においても発現することが示された。双方の変異体(ptb1-/-およびptb2-/-)を得たが、これら変異体の発生・分化・成長には異常に見られなかった。二重変異体(ptb1-/-ptb2-/-)の作出を試みたが、当該変異体を得ることができなかったことから、PTBが植物の生殖、発生または成長に不可欠な遺伝子と推定された。ptb1-/-ptb2+/-および ptb1+/-ptb2-/-変異体の花粉を観察したところ、ptb1-/-ptb2+/-では約1/3の花粉粒で発達異常が見られた。また、ptb1-/-ptb2+/-および ptb1+/-ptb2-/-変異体とも、花粉の発芽率が野生型の約半分程度であることが示された。現在、ptb1-/-ptb2+/-で見られる花粉粒異常が花粉の形成・成熟のどの過程で起きているのかを、成熟花粉が四分子のままである変異体(qrt)を用いて解析を進めている。また、以前の発表者の研究により、イネPTBが核-細胞質を移動している可能性が示唆されていることから、AtPTB1,2-GFP融合タンパク質の各組織における細胞内局在性を調べる予定である。
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© 2008 日本植物生理学会
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