日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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エキシンの構造に異常を示すシロイヌナズナkaonashi突然変異体の解析
*鈴木 俊哉正岡 加奈里中村 研三石黒 澄衞
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p. 0646

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抄録
花粉壁の外層を構成するエキシンは、雄性配偶子の保護や花粉媒介者への接着、柱頭による認識など様々な役割を果たすと言われている。エキシンは花粉自身と葯壁のタペート細胞の働きによって形成されると言われているが、その機構やそれに関わる遺伝子についてはまだほとんどわかっていない。そこでシロイヌナズナを材料に用いて、変異原処理した個体の花粉を走査型電子顕微鏡で観察するという手法でスクリーニングを行い、エキシンの構造に異常を示す新奇突然変異体の探索を試みた。
現在までに約2000個体の花粉を観察し、エキシンが異常なkaonashikns)突然変異体を12ライン得た。野生型のエキシンは規則的な網目模様をしているが、変異体の多くはそのパターンに異常を示した。今まで報告例のない表現型も多く、本スクリーニングによってエキシンの形成に関わる未知の遺伝子が多数同定できると期待している。kns突然変異体の多くではそれほど顕著な稔性の低下が見られなかったが、これはエキシンの構造が必ずしも受粉の成否を決めるわけではないことを示している。現在エキシンの編目模様が細かくなるkns2と、エキシン層が非常に薄くなるkns4について、マップベースクローニングによる原因遺伝子の同定を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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