日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キメラリプレッサーを用いたシロイヌナズナSBP-box遺伝子SPL10の解析
*四方 雅仁高木 優
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p. 0648

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抄録
SBP-boxファミリーは植物特異的な転写因子群であり、シロイヌナズナには16遺伝子(SPL1~16)が属する。SPL10はSPL11と78%の相同性を示し、5’UTRおよびプロモーター領域も保存されていること、発現パターンも類似していることから、重複した機能を持つことが予測される。事実、spl10変異体は表現型が表れず、spl10 spl11二重変異体の解析が必要である。しかしながら、SPL10SPL11はゲノム上で隣接しており、掛け合わせによる二重変異体の作成が困難である。そこで、内在の転写因子や重複した機能を持つ転写因子に対してドミナントに働くキメラリプレッサーを用いた解析(CRES-T法)を行った。SPL10にリプレッションドメインを付加し、これを植物体内で過剰発現させると、頂芽優勢の欠失、花柄が短くなることによる花序形態の異常、花器官・さやの形態異常が見られた。電子顕微鏡による観察、および切片の観察より、さやのreplum領域の拡大と、valve細胞の形態異常が明らかになった。花器官では、がくの形態が花の発生初期から異常が見られた。以上のことから、SPL10は器官形成において重要な役割を果たしていると推測される。さらに、これらの表現型を引き起こしている原因遺伝子について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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