日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナvip6/elf8は有性生殖に必須の遺伝子である
*白矢 武士佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之岩崎 俊介
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p. 0649

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抄録

シロイヌナズナvip6/elf8遺伝子(At2g06210)の欠損は早期花成の表現型をもたらすが、それはVIP6/ELF8タンパク質を成分として含むPAF1複合体が花成抑制因子FLCの遺伝子発現の活性化に必要であるからとされている(Oh et al., 2004; He et al., 2004)。しかし、これら二つの論文で用いられているものを含む複数のSalk研究所T-DNA挿入ラインと、私たちがかずさDNA研究所のT-DNAタグラインから独自に同定した1ラインのすべてのラインにおいて、抗生物質耐性を示す発芽種子の遺伝子型はすべてヘテロであり、その原因はホモ挿入個体が胚性致死となるためであることを昨年度の本学会で報告した。しかしながらその後、ごく稀ではあるがホモ挿入個体が得られることが判明した。ホモ挿入個体は矮性で茎が細く、茎生葉が小さく、野生型に比べ多くの花が咲き、老化が早く起こったが、種子は全く得られなかった。花の形態を詳細に観察すると、萼の周縁部が花弁のように白くなり、花弁が発達不全で外部からほとんど見えず、花糸がほとんど伸びず、先端の葯も緑色で、葯内部での花粉形成が確認できなかった。以上のように、vip6/elf8遺伝子は有性生殖に必須の遺伝子であることが示された。

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© 2008 日本植物生理学会
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