日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キンポウゲ科タガラシにおける花芽分裂組織決定遺伝子の特定
*佐藤 由夏伊藤 元己
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p. 0651

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抄録
被子植物の生殖器官である花は、一般的にがく・花弁・雄しべ・雌しべという器官で構成されており、その器官の数・配列・形態などが多種多様である。祖先的な被子植物の花は全て放射相称であり、一部の花器官が不特定多数でらせん配列している。進化の過程で、被子植物の花器官の数は一定化し、らせん配列から輪生配列へ、放射相称から左右相称へと花の形態は多様化していった。そこで、花器官の数が不特定多数から一定化する事が花形態の多様性が生じるための重要な出来事として考え、花芽分裂組織決定遺伝子であるAPETALA1(AP1) に着目した。本研究では、祖先的な分類群である真正双子葉類の基部に位置し、多数の雄しべと雌しべがらせん配列するキンポウゲ科のタガラシからAP1相同遺伝子を単離し、発現パターンや機能を調べることを目的とした。現在までに、タガラシAP1相同遺伝子であるRascFUL1を単離し、半定量的RT-PCR、リアルタイムPCRを行った。その結果、開花時において苞葉・がく・雌しべで強い発現が観察された。この結果より、がくと花弁で発現が見られるシロイヌナズナのAP1と、タガラシのRascFUL1は発現パターンが異なることが示され、機能も異なる可能性が示唆された。さらに、花器官原基が発生する時のRascFUL1の発現を詳細に観察するために、in situ ハイブリダイゼーションを行っている。
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© 2008 日本植物生理学会
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