日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナEXLタンパク質のポーレンコート形成における機能
*佐々 路佳齊藤 弘子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0655

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抄録
シロイヌナズナのポーレンコートは花粉表面を覆うタンパク質や脂質からなる物質で花粉の稔性に重要な働きを持つ。本研究では、ポーレンコートに大量に存在するEXTRACELLULAR LIPASE4(EXL4)およびEXL6タンパク質に注目し、これがポーレンコートの機能またはその形成にどのような働きを持っているか解明することを目的として研究を行った。これまでの研究で、 EXL4、EXL6両遺伝子の発現をほぼ完全に抑えた植物体(exl4-RNAi exl6)ではポーレンコートの形成が不完全になり、明らかに花粉稔性が低下することを見いだしており、まずその原因についてさらに解析を進めた。 exl4-RNAi exl6の花粉を野生型植物の柱頭に付けてその変化を走査型電子顕微鏡で観察したところ、柱頭からの吸水が著しく抑制され、それが不稔性の原因であることがわかった。次にポーレンコートを抽出してそこに含まれるタンパク質を分析したところ、EXL4やEXL6だけでなくそれ以外の主要タンパク質も大幅に減少していた。脂質成分についても現在解析を進めている。さらに、EXL4、EXL6タンパク質の細胞内局在部位を調べるため、GFP融合タンパク質を作製し、タペート細胞で発現させた。その結果、両タンパク質は細胞内で顆粒状に蓄積している像が観察された。以上の結果は、EXL4、EXL6タンパク質はタペート細胞の内容物が分解され正常なポーレンコート成分が形成される過程で何らかの重要な働きをしていることを示している。
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© 2008 日本植物生理学会
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