日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ARF6ARF8の開花における役割
*田畑 亮山本 興太朗中村 研三石黒 澄衞
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p. 0656

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抄録
ジャスモン酸(JA)は葯の裂開や開花時の花弁伸長に必要であるが、その生成がどのような因子によって制御されているかは不明な点が多い。我々はauxin response factor 6 (arf6)8 (arf8) の二重変異体では蕾でのJAの生成量が減少することに着目し、その機構の解明を試みた。JA生合成に関与する酵素の遺伝子の発現を調べた結果、arf6 arf8ではDEFECTIVE IN ANTHER DEHISCENCE1 (DAD1) 遺伝子の発現が強く抑制されていることを見いだした。そこでこの二重変異体にPISTILLTAプロモーターにつないだDAD1遺伝子を導入したところ、花序におけるJA量が一部回復した。一方、arf6 arf8二重変異体の花では、花弁の維管束形成異常、細胞分裂の低下など、器官形成の異常が観察される。これはクラスI KNOX遺伝子の異所発現を疑わせる。調べた結果、arf6 arf8の花序ではこれらの遺伝子の発現が野生型に比べて明らかに増加していた。つづいてarf6 arf8 stm+/-個体を作出したところ、器官形成の異常が一部回復したほか、DAD1の発現が増加し、葯の裂開や花弁の伸長などJAと関係する表現型も回復が見られた。以上より、花器官形成においてARF68によるKNOX遺伝子群の発現抑制が正常な器官形成に必要であり、同時にJAの生成に必要なDAD1の発現制御にも関与していると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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