日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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スプライオソームの構成因子と相同性を持つSD5の欠損は、シロイヌナズナの芽生えで致死性を示す
*本郷 洋明吉積 毅黒森 崇神谷 麻子島田 浩章松井 南
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p. 0682

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抄録
理化学研究所・PSCでは、シロイヌナズナのトランスポゾン挿入変異体が多数作製され、様々な表現型解析が行われている。
これらのタグラインの中から、トランスポゾンのマーカー分離に異常が見られる変異株が見つかり、segregation distortion (sd)変異体と名付けた。その中のsd5は、ホモ接合体では本葉の発達が起こらずに幼少の時期に成長を止めるという表現型が観察され、その原因がAt3g24730へのトランスポゾンの挿入であることが明らかになった。
At3g24730のコードするタンパク質は、高等真核生物で高度に保存されているDIM2と高いホモロジーを示した。DIM familyはDIM1とDIM2があり、高等真核生物では両方をそろえているが、酵母ではDIM1のみを持つ。分裂酵母のDIM1はmRNAのスプライシングに関わるタンパク質をコードしており、欠損を起すと細胞周期の進行が妨げられて、致死となる。DIM1の温度感受性変異株を用いた相補性実験では、SD5は制限温度において機能を相補できなかった。シロイヌナズナのDIM1ホモログは相補できたことから、SD5は分裂酵母DIM1と異なる、高等生物特異的な因子と考えられる。
現在、sd5の本葉発達不全について、子葉の核相レベルの解析や、細胞周期関連遺伝子や茎頂分裂組織特異的に発現のある遺伝子の転写量を調べることで、原因の究明を行っている。さらにSD5がスプライオソームの一構成因子であるか、Y2H法を用いて解析しており、合わせて報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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