日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ストレスシグナルに応答した葉緑体ストロマCa+2濃度の一過的上昇
*小森 禎子野村 裕也椎名 隆
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p. 0695

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抄録
植物のストレス応答や病害応答において、Ca+2はセカンドメッセンジャーとして重要な役割を担っている。我々は最近、葉緑体が細胞質Ca+2シグナルの発生と機構閉鎖運動の制御に関わっていることを明らかにした(Nomura et al., 2007 Plant J)。しかし、葉緑体内のストロマCa+2レベルがどの様に制御されているか、その詳細はわかっていない。そこで、本研究ではCa+2感受性発光タンパク質エクオリンを用いて、過酸化水素およびエリシター処理に対するストロマCa+2レベルの応答を測定した。ROSの一種である過酸化水素(H2O2)は植物細胞のシグナル伝達に関わっていると考えられている。我々は今回、H2O2処理に応答して葉緑体内Ca+2濃度が一過的に変動することを見いだした。細胞質のCa+2レベルは1~2分の早い変動を示したが、葉緑体では20~30分かけてゆっくりと上昇するCa+2変動が見られた。これは、H2O2シグナルを葉緑体に伝える未知のシグナル伝達系が存在することを示唆する。過敏感細胞反応を引き起こすエリシターを処理した場合も、細胞質Ca+2変動に引き続き、葉緑体Ca+2シグナルが生じることが分かった。細胞質から葉緑体へのCa+2シグナルの伝達は,病害応答に関わるシグナル伝達においても、重要な役割を果たしている可能性がある。
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© 2008 日本植物生理学会
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