日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物オルガネラで機能するRecG相同タンパク質の解析
*増田 祐一小田原 真樹関根 靖彦
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p. 0711

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抄録
植物オルガネラDNAは紫外線、呼吸や光合成反応の電子伝達系に由来する活性酸素による損傷を頻繁に受けていると考えられるが、植物オルガネラDNA損傷を修復する機構に関する知見は乏しい。DNA切断はバクテリアではRecAタンパク質を主体とする組換え修復系によって修復される。オルガネラの起源がバクテリアであることから植物オルガネラでも同様のバクテリア型組換え修復機構が存在すると予想し、当研究室では遺伝子ターゲッティングが容易なヒメツリガネゴケを用いて、その機構の解明を目指している。我々はヒメツリガネゴケにおいて大腸菌recGの相同遺伝子(PprecG:Physcomitrella patens recGと命名)を同定し、その解析を行った。RecGは大腸菌において組換え修復の後期過程で、ホリデイ構造の分岐点移動を担うヘリケースである。GFP融合法による細胞内局在解析から、PpRecGはミトコンドリアと葉緑体の両方に局在することが明らかになり、またPprecGの発現はDNA損傷剤処理によって誘導された。PprecGの遺伝子破壊株を作成し野生株との生育を比較したところ、生育の遅延と形態の異常が観察された。これらの結果から、細胞内におけるPpRecGの機能について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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