日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉を目指したシミュレーションモデルの構築
*矢野 覚士塚谷 裕一
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p. 0729

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抄録
葉の最終形態は細胞の数と大きさによって決まると考えられる。したがって個々の細胞の分裂活性とサイズ変化を記述できれば、多様な葉の形態が説明できる。しかし離散的に起こる細胞分裂、細胞質または液胞体積の増大による伸長成長は、葉の発生過程において異所的かつ同時に起こるため、各成分の正確な記述が困難である。このため、特定の細胞分裂と伸長のパターンがどのような形状の葉を産むのかという問題は、現在でも未解決である。本研究はこの問題に対して逆のアプローチを取り、生物学的特性を盛り込んだモデルを構築して、最終的には葉の形状を説明できるような各パラメータを推定することを目的としている。
実際の柵状組織の並皮切片像から細胞の重心を求め、ボロノイ分割を行ったところ、分割線と実際の細胞壁の配置は非常に類似していた。この結果をふまえて、モデルは細胞の基本形状を円とし、その形状が周囲の細胞配置によって変化する設計にした。前大会ではこの考えを基に、細胞に伸長・分裂機能を組み込んだプログラムで細胞の位置と形状が変化していく様子を紹介した。今回紹介するのは細胞の伸長・分裂の制御を一次元から二次元へ拡張したモデルである。この拡張によって細胞の成長量を面積として与えることが可能になり、細胞の周長に応じた成長などが可能となった。発表では伸長と分裂のパラメータを変えたときに、全体の形状がどのように変化するのかを紹介する。
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© 2008 日本植物生理学会
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