抄録
メロンのエチレン合成系においてACC合成酵素2(CMeACS2)は、様々な刺激に対して応答する遺伝子と考えられている。CMeACS2の上流プロモーター領域にあるGCCGAC配列(DRE/CRT cis-acting element)に結合する転写因子(CMeERF1,CMeERF2,CMeDREB1)を酵母ワンハイブリッド法により単離し、これら転写因子の機能解析を行なってきた。本研究では、CMeERF1,CMeERF2,CMeDREB1を過剰発現した形質転換シロイヌナズナを用いin vivoにおけるこれら転写因子の機能解析を行った。また、CMeERF2と相同性が高いClassIV転写因子に見られるN末端共通配列の役割を調べた。
ERFは病害、DREBは低温・乾燥応答性遺伝子の発現に関与していることが知られているためストレス応答性遺伝子の発現を調べた。CMeERF2過剰発現株においてはCor15aが、 CMeDREB1過剰発現株ではRd29a,KIN1の発現が上昇した。また、いくつかのACS遺伝子及びACO遺伝子の発現が誘導された。これら転写因子は、ストレス応答に関与すると推測され、エチレン合成にも関与している可能性が示唆された。CMeERF2のN末端モチーフ解析では、モチーフの有無で転写活性化能に差がみられ、N末端配列が重要な働きを持っていることが示唆された。