日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CRES-T法を用いた花きの形質改変と他の植物種に適用する際の汎用性の評価
鳴海 貴子間 竜太郎仁木 智哉西島 隆明小山 知嗣光田 展隆高木 優*大坪 憲弘
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p. 0734

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抄録
CRES-T法は、機能重複した転写因子群に対しても優位に抑制効果を発揮し、効率的な遺伝子サイレンシングを可能にする転写抑制技法である。私たちは、この技法を用いた多数種の花きの形質改変を通じて、転写抑制効果の期待値や植物種間差など新たな植物種に本法を適用する際に必要な情報のほか、研究材料や育種素材を提供することを目的として研究を進めている。
キク及びトレニアにTCP3, AG, EIN3, AP1等多数のキメラリプレッサーを導入して行った解析から、本法を用いて花色や花形の改変、エチレン応答や開花時期の調節など実用性の高い形質付与が高次倍数体においても可能であることを示す一方で、半数以上の例ではシロイヌナズナでの知見から期待される表現型が現れない、あるいはこれらからは予想されなかった新たな形質を示すことを確認し、ネイティブプロモーターの使用等、材料や目的形質に合わせた最適化も必要であることを明らかにした。
本報告では、これまでに作出した形質転換植物の解析の具体例に加え、目的形質を効率的に選抜するバルククリーニング法の有効性、得られた形質と遺伝子機能情報の蓄積・共有を目的に構築したデータベースの利用などについても触れながら、転写因子の機能解析や分子育種における本法の有用性と適切な使用法を検討する。
なお、本研究は、「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」によるものである。
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© 2008 日本植物生理学会
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