日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるイソプレノイド生合成系酵素の発現制御に関わる転写因子の探索
塚越 正徳*高橋 征司松本 拓朗佐野 亮輔鈴木 秀幸櫻井 望柴田 大輔中山 亨古山 種俊
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p. 0736

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抄録
植物イソプレノイドは自身の生理機能調節のみならず、それを摂取する動物にとっても非常に重要である。イソプレノイドはイソペンテニル二リン酸(IPP)が連続的に縮重合した構造を基本骨格とする。植物細胞内には、細胞質中のメバロン酸経路と色素体中の非メバロン酸経路(MEP経路)という2つのIPP生合成経路が存在する。これらの生合成経路の酵素の発現は厳密に制御されているが、その詳細な機構は不明な点が多い。本研究では、シロイヌナズナにおけるMEP経路について、主に転写レベルにおける発現制御因子の解明を目的とする。
候補となる転写因子を選別するため、AtGeneExpressのアレイデータを基に、MEP経路の酵素遺伝子と発現パターンに相関性がある転写制御因子を選別した。MEP経路の各酵素遺伝子は光周期で発現変動を示すことから、そのパターンと同様な発現変動を示す転写因子を解析候補として絞り込み、それらの遺伝子挿入変異体におけるMEP経路遺伝子の発現を解析した。その結果、zinc finger型転写因子変異体において、MEP経路の律速酵素遺伝子の有意な発現上昇がみられ、それに対応したカロテノイド及びクロロフィルの蓄積量の上昇がみられた。また、別のzinc finger型転写因子変異体では、MEP経路の律速酵素遺伝子の発現抑制と代謝物の蓄積量の減少がみられた。これらによるMEP経路の制御機構が予想される。
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© 2008 日本植物生理学会
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