日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのTEBICHIとATRタンパク質によるタンデム重複遺伝子とヘリトロン近傍遺伝子の発現制御
*稲垣 宗一中村 研三森上 敦
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p. 0742

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抄録
シロイヌナズナの多くの遺伝子は遺伝子ファミリーに含まれ、これらは主にゲノムの大きな重複もしくは局所的なタンデム重複によって生まれる。また、シロイヌナズナのゲノム中の約2%を占めるヘリトロンという最近発見されたトランスポゾンは互いに高い塩基配列の相同性を示す。これらの相同配列間の相同組換えはゲノム進化に寄与すると考えられている。我々は、DNAポリメラーゼとDNAヘリカーゼのドメインを持つシロイヌナズナのTEBICHI(TEB)タンパク質はDNA複製チェックポイントキナーゼのATRと協調して、重複遺伝子、特に、タンデム重複遺伝子の発現抑制に関わることを見いだした。マイクロアレイ解析により、tebもしくはteb atr二重変異体において多くのタンデム重複遺伝子が有為に上昇していた。また、葉の背腹性異常の解析より、tebteb atrでは、ETTINETT), ARF4遺伝子の発現が上昇していることを見いだし、さらにETTの発現上昇にはETTの上流に挿入されているヘリトロンが関わっていることが示唆された。さらには、マイクロアレイ解析により、tebteb atrではヘリトロン近傍遺伝子の発現が上昇する傾向にあることが示された。これらの結果より、TEBとATRはDNA複製中の相同組換えを通して、これらの遺伝子領域のクロマチン構造維持に働いているのではないかと考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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