日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナリン酸トランスポーター遺伝子PHT1;1の5’UTRを含むプロモーター領域の解析
*小林 康之小山 貴芳神保 哲朗中川 強木村 哲哉粟冠 和郎
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p. 0741

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抄録
シロイヌナズナ高親和性リン酸トランスポーターPHT1;1は、根においてリン酸吸収に重要な役割を果たしており、その遺伝子発現はリン酸への負の応答と強い根特異性が転写レベルで制御されている。本研究では、PHT1;1のリン酸への応答及び根特異的な発現を制御する分子機構を明らかにすることを目的とし、5’UTRを含むプロモーター領域の解析をおこなった。実験には、シロイヌナズナ植物体のほか、シロイヌナズナから効率的に毛状根を誘導する方法を利用した。5’UTRを含むプロモーター領域4kbの5’側から段階的に削ったプロモーターを作成し、GUS遺伝子と連結してシロイヌナズナ毛状根と植物体へ形質転換をしたところ、上流4kbから1kbの間でリン酸に対して負の応答を示した。この領域には、リン酸応答に関与する転写因子WRKY75の結合部位が3ヶ所存在しており、PHT1;1の発現に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、5’UTRを含むプロモーター領域を500bpまで削っても強い根特異的発現が観察されたが、5’UTRに存在するイントロンを除いたキメラプロモーターでは、発現が大きく減少することがわかった。この結果から、PHT1;1の強い根特異的な発現は、5’UTR中に存在するイントロンのエンハンサー効果によるものであることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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