抄録
COP9シグナロソーム(CSN)は、動植物において保存されており、生存に不可欠な核内タンパク質複合体である。CSNは、CRL型のE3ユビキチンリガーゼのE3活性に関わるcullinサブユニットの脱Rub化を調節する。その結果、転写因子などの核内タンパク質の分解を制御する。
我々は、強い転写抑制機能をもつCSN1サブユニットのN末端部位に着目し、その相互作用因子群として、SAP130、DdxX15、CF Im68などのmRNAの代謝に関与するタンパク質群を同定した。
SAP130はDDB1ファミリーに属し、RNAスプライシングに関わるSF3b複合体や転写に関わるSTAGA/TFTC複合体で同定されるが、その詳細な機能は未知である。そこで我々は、CSNとSAP130との結合が、タンパク質分解制御とmRNA代謝制御とを結ぶ鍵と考えて、詳細な解析を進めている。その結果、まずシロイヌナズナとヒトのそれぞれの系で、SAP130がCSN1と直接結合することを明らかにした。さらに、ヒトのSAP130がcullinを介してCRL型のE3ユビキチンリガーゼとも結合することを明らかにし、新たな制御機構の存在が強く示唆された。
現在、遺伝学的・逆遺伝学的手法を活用し、植物でCSNとSAP130との結合が担う機能を個体レベルで解析している。今回、植物と動物におけるCSN制御機構の異同について議論する。