抄録
パラゴムノキ Hevea brasiliensis の二次代謝産物である天然ゴム(cis-1,4-polyisoprene)は工業的に広く利用されている。天然ゴムの構造は生合成機構に依存するが、その生合成の全容は不明な点が多い。
本研究では、ゴム生合成に関与するといわれているsmall rubber particle protein(以下SRPPと略)、rubber elongation factor(以下REFと略)について、免疫組織化学的手法による組織内の局在解析を行った。ラテックスのESTデータベースで発現量が多いSRPP1、REF1のポリクローナル抗体を作製し免疫染色をしたところ、SRPP1、REF1ともに乳管細胞において特異的なシグナルが認められた。さらに、乳管細胞内のラテックスからゴム粒子を回収し、抗SRPP1抗体、抗REF1抗体を用いた免疫電顕を実施した。その結果、ゴム粒子表面に金コロイドで標識されたSRPP1およびREF1が認められたが、SRPP1とREF1は異なる局在を示す可能性が示唆された。一方、乳管細胞の免疫電顕についても現在検討を行っており、細胞内局在と併せて発表予定である。