日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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N-メチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を低下させた遺伝子組換えデカフェコーヒー(Coffea canephora)植物にみられるプリン代謝
*芦原 坦鄭 新強片平 理子森本 昌幸荻田 信二郎佐野 浩
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p. 0787

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抄録
カフェインはプリンヌクレオシドであるキサントシンのメチル化により生じる。最近、低カフェインの遺伝子組換えコーヒー(Coffea canephora)植物が、7-methylxanthine N-methyltransferaseの遺伝子の配列を使ってアンチセンス法とRNAi法で作出された(Ogita et al. Nature, 423: 823, 2003)。この組換えコーヒー植物のプリン代謝を14C標識化合物の代謝と、細胞内ヌクレオチドと関連物質のレベルから検討した。 [8-14C]アデニンをコーヒー植物の若い葉に投与すると、AMPになった後に、ヌクレオチド、RNA、ウレイド、CO2、プリンアルカロイドに変換されたが、もとの植物と組換え植物で大きな違いは見られなかった。カフェインへの変換には比較的時間がかかり、18時間後に、野生株では、前駆体であるテオブロミンとカフェインに全放射能の約30%がみられたが、組換え植物では、カフェインへの変換は、0.2-0.3%に過ぎなかった。ばらつきは多いが、組換え植物では、放射能の最大15%がテオブロミンに見られた。細胞内ヌクレオチドレベルの違いは少なく、組換え植物ではわずかにキサントシンの蓄積が見られたが、カフェインの含有量低下に比べればわずか(0.1%以下)であった。この結果は、低カフェイン組換え植物で大きなプリン代謝異常は起こっていないことを示している。
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© 2008 日本植物生理学会
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