日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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放射線照射によって得られたトマト果実色変異体の41kDNAアレイによる解析
*今西 俊介鈴木 孝征野口 有里紗平賀 智子永田 雅靖
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p. 0786

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抄録
果実の成熟は農業的に重要な特質であり、生長の中で強度に制御かつ高度にプログラムされている。果実成熟機構を明らかにすることは、農業利用だけでなく植物の生長の制御機構を理解する上でも有意義であると考えられる。ゲノム研究が始まったトマトは、果実生理研究における優れたモデルシステムである。我々は果実成熟の分子機構に関する知見を得ることを目的として、極矮性品種である「Micro-Tom」にガンマ線や重イオンビーム照射した変異誘発集団の整備を行い、変異体の単離・解析を行っている。今回、網羅的な遺伝子の発現解析を効率的・高精度に行うため、オリゴDNAマイクロアレイを製作し解析を行ったので報告する。
選抜した桃色の果実色を示すpink系統および野生型について、重複のないunigene setから設計することができた41,313のprobeを搭載したトマト41kアレイを用いて果実成熟過程の遺伝子発現プロファイリングを行った。その結果トマト41kアレイ上のフラボノイド合成系遺伝子の複数の多重遺伝子族の発現について、pinkにおいて特異的に発現レベルが低い遺伝子とそうでない遺伝子が存在することが明らかとなった。このことからpink変異の原因遺伝子はフラボノイド合成系の多重遺伝子族において、特定の遺伝子を協奏的に制御する因子である可能性が高い。
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© 2008 日本植物生理学会
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