日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

植物のI型およびII型H+-ピロホスファターゼの蓄積量と機能膜モデルにおける相違
*瀬上 紹嗣広野 めぐみ三村 久敏中西 洋一前島 正義
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0802

詳細
抄録
H+-ピロホスファターゼ(H+-PPase)は、ピロリン酸の加水分解反応に共役してH+を膜輸送するプロトンポンプであり、植物をはじめ、ある種の微生物や寄生原生生物、古細菌にも存在する。植物の液胞膜に存在するI型H+-PPaseはV-ATPaseと共に液胞の酸性化を担うことが知られているが、生理機能未知のアイソフォームもあり、異種発現系での機能検定から活性にK+を必要としないII型として分類されている。H+-PPaseの機能構造は、大腸菌発現系が利用可能な放線菌H+-PPaseについて、システインスキャニング法により膜トポロジーが決定され、網羅的なランダム変異酵素解析により基質分解、プロトン輸送、両反応の共役に関与するアミノ酸が特定されている。本発表では,植物I、II型のH+-PPaseの構造的特徴、蓄積量および局在性の違いを示す。放線菌酵素の知見からトポロジーモデルを作製し、機能的に重要なアミノ酸について比較・検証し、植物H+-PPaseの構造上の特徴を明確にした。さらに免疫化学的解析により、I、II型の存在量を葉、茎、花部、根などの組織別に算出し,II型の量が極めて少ないことを明らかにした。ショ糖密度勾配遠心法による局在解析では、II型はゴルジ体指標であるTriton-stimulated IDPaseと、ER指標であるBipのピークと酷似し、局在箇所はこの2箇所に絞られた。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top