日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Ni超集積性植物タカネグンバイ由来ZIPトランスポーター(TjZNT1/2)の基質選択およびNi耐性に関する領域の同定
*西田 翔水野 隆文森永 康裕小畑 仁
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p. 0803

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抄録
北海道・夕張岳に自生するNi超集積性植物タカネグンバイについて、我々は以前この植物から二種類のZn/Cdトランスポーター(TjZNT1/2)を単離し、両トランスポーターが酵母細胞にNi耐性能を付与することを報告した(Mizuno et al. 2005)。しかし、発現酵母によるNi排出能は確認できておらず(Mizuno et al. 2007)、両トランスポーターの発現が酵母にNi耐性能をもたらすメカニズムは不明のままであった。TjZNT1/2は極めて高い相同性を示す一方で、両者にはNi耐性能のほかZn/Cd輸送能に明確な違いが存在し、基質の違いとNi耐性能になんらかの関係があることが推測された。そこで本研究では、TjZNT1/2の各種キメラ遺伝子を構築し、発現酵母の金属輸送能から両トランスポーターの基質選択およびNi耐性に関する領域の同定を試みた。その結果、TjZNT1のN末端領域(1-7a.a.)が高親和性Zn輸送能を与える領域であることが明らかとなった。また、TjZNT2にZn輸送能は認められないが、先端の1-36a.a.を欠如したTjZNT2にはZn輸送能が認められたことから、このN末端領域はTjZNT2のZn輸送における自己疎外領域であることが示唆された。さらに、同領域のNi耐性能への関与も示唆されたことから、現在このN末端領域の機能について詳細な解析を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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