日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるアブシジン酸、ジャスモン酸メチル誘導気孔閉口シグナル伝達経路―プロテインホスファターゼ2Aの役割―
*齋藤 直毅宗正 晋太郎中村 宜督下石 靖昭村田 芳行
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p. 0825

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抄録
植物は乾燥ストレスにさらされると、アブシジン酸(ABA)産生が誘導される。ABAは孔辺細胞内で、活性酸素種(ROS)の産生、細胞内Ca2+濃度([Ca2+]cyt)の上昇などを引き起こし、気孔閉口を誘導する。タンパク質脱リン酸化酵素2A(PP2A)の調節AサブユニットのRCN1がABA誘導気孔閉口シグナル伝達のポジティブレギュレーターとして、[Ca2+]cytの上昇より上流で機能することが示された(1)。一方、ABAと同様に気孔閉口を誘導することが知られているジャスモン酸メチル(MJ)は、ABA誘導気孔閉口シグナル伝達経路のROS産生より上流でクロストークすることが報告された(2)。そこで、本研究ではABA、MJ誘導気孔閉口シグナル伝達におけるRCN1の役割をさらに解明することを目的とし、シロイヌナズナのRCN1遺伝子ノックアウト変異体(rcn1変異体)を用いて実験を行った。rcn1変異体は、以前の報告通り気孔閉口に関してABAに非感受性を示した。また、MJにも非感受性を示すことが分かった。さらに、rcn1変異体はABA、MJによって孔辺細胞内でROSを産生しないことが分かった。以上より、RCN1はABA、MJ誘導気孔閉口シグナル伝達経路においてROS産生より上流で機能することが示唆された。

(1) Kwak et al. Plant cell (2002) 2849-2861
(2) Munemasa et al. Plant Physiol. (2007) 1398-1407
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© 2008 日本植物生理学会
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