抄録
本研究室では、シロイヌナズナにおいて新規のCa2+結合タンパク質を発見し、CCaP1 (cytosolic Ca2+-binding protein)、CCaP2、CCaP3と命名した。本研究では、各CCaPとGFPの融合タンパク質を培養細胞で発現させることにより、CCaPが細胞質に存在する可溶性タンパク質であることを明らかにした。プロモーターGUS解析と免疫ブロッティングにより、CCaP1は葉柄特異的に、CCaP2、CCaP3は根特異的に発現蓄積することを明らかにした。次に、様々な条件でシロイヌナズナを生育させ、CCaP1、CCaP2の転写レベルを定量解析した。CCaP1、CCaP2は暗条件で転写レベルが増加し、さらに暗条件を続けると20時間後には日中レベルの10倍程度まで増加すること、また転写レベルはジベレリンによっても増加することが明らかになった。増加した転写レベルは光を照射すると数時間以内に日中レベルまで急速に低下することを発見した。発芽直後の実生においても、CCaP1、CCaP2は同様の発現応答を示した。フィトクロームおよびクリプトクローム遺伝子破壊株での変動についても報告する。これは転写の促進と抑制において異なる機構が働いていることを示唆している。転写レベル制御に必要な光の波長と、タンパク質レベルでの解析も行っており、その結果についても報告する。