抄録
食物連鎖を介して玄米へのカドミウムの集積は人間の健康に悪影響を及ぼし、現在でも重要な環境問題となっている。イネ地上部へのカドミウム濃度を制御できれば、玄米へ転流するカドミウム量の低減が期待できる。本研究では、イネのカドミウム集積機構を明らかにするために、まずイネコアコレクション148系統の地上部へのカドミウム集積を調べた。その結果、高集積と低集積系統との間にカドミウムの濃度差が10倍以上あった。次に、高集積性と低集積性の系統を交配して、得た二つのF2集団を用いてカドミウム集積に関与するQTL解析を行った。その結果、Badari Dhan(高集積)とShwe War(低集積)のF2集団において第11番染色体上にQTLが一つ検出され、このQTLの地上部へのカドミウム集積に対する寄与率は18.7%であった。一方、興味深いことにNepal 555(高集積)とShwe WarのF2集団においてはBadari DhanとShwe Warの集団とは異なる二つQTLが染色体7番と10番に検出された。これらのQTLのカドミウム集積に対する寄与率はそれぞれ11.0%と12.4%であった。これらの結果は、Badari DhanとNepal 555におけるカドミウム高集積性が異なる遺伝子によって支配されていることを示している。現在、F3集団を用いて更なる解析を行っているところである。