日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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レタス芽生えの成長に対する疑似微小重力と他の成長制御要因の影響
縣 環己高橋 上野佐久間 洋*井上 雅裕
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p. 0917

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抄録

一次元クリノスタットを用いた疑似微小重力(SMG)条件における植物の成長や形態形成には、植物ホルモン制御とともに光や温度、湿度、培地中のミネラルや水分条件など多くの要因が関わっている。対照(CTR)である静置1g条件に較べてSMG条件で観察されるアズキ芽生えの茎の伸長抑制はシベレリン処理で回復し、同時におこる茎肥大はエチレン合成阻害剤で抑えられる。これらは光照射条件下でのみおこる現象である(Inouhe et.al.2000)。一方、形態学的に異なるレタス芽生えでは、光照射条件における地上部の成長がSMG条件でCTRより有意に促進され、これが光によって展開促進を受ける葉器官に特有のSMG応答である可能性が示された。そこで、その成長促進の原因についてさらに調べた。まず、光の照射角度を葉面に対し90度一定とし、レタスの葉の成長に対するSMGの影響を調べた。その結果、複数の品種において有意な葉の成長促進が確認された。また、その促進は、水だけではなく無機塩類を添加した培地や、密封した透明容器の中で培養した場合に、失われることがわかった。水ストレスの指標であるアルコール脱水素酵素活性には変化なく、金属・酸化ストレス指標であるグルタチオン濃度は増加した。以上の結果から、SMGと他の成長要因との関係を考察する。

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© 2008 日本植物生理学会
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