日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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黄化エンドウ芽生え上胚軸の重力応答反応におけるオーキシン極性移動の重要性:特に、オーキシン極性移動阻害剤の影響について
星野 友紀宮本 健助*上田 純一
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p. 0918

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抄録

1g環境下、暗所で胚の向きを重力に垂直あるいは平行(やや斜め)にしてアラスカエンドウ芽生えを生育させると上胚軸は反重力方向に伸長した。また、暗所、3次元クリノスタット上の擬似微小重力環境下で生育させた場合、上胚軸は自発的形態形成様の成長、発達を示した。一方、重力応答突然変異体であるageotropumエンドウの場合、胚の向きや生育時の重力環境に関わらず、上胚軸は自発的形態形様の成長、発達を示した。1g環境下において、オーキシン極性移動阻害剤であるTIBA, NPA, HFCAは黄化アラスカエンドウの重力応答反応を阻害するとともに、黄化ageotropumエンドウ上胚軸の成長方向を変化させた。黄化アラスカエンドウ芽生え上胚軸の重力応答反応が阻害される場合、上胚軸子葉側のオーキシン極性移動能は著しく変動した。他方、黄化ageotropumエンドウ芽生えにおいては、重力刺激を変化させてもこのような変動は認められなかった。オーキシン極性移動阻害剤は黄化エンドウ芽生え上胚軸におけるPsPINsPsAUX1遺伝子発現にほとんど影響しなかった。以上の結果は、初期成長過程における黄化エンドウ上胚軸の重力応答反応には、上胚軸子葉側のオーキシン極性移動能が重要な役割を担っていること、オーキシン極性移動阻害剤はオーキシン極性移動制御分子に影響し、上胚軸のオーキシン極性移動を阻害することを示唆している。

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© 2008 日本植物生理学会
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