日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ケミカルバイオロジーによるシロイヌナズナ過敏感細胞死制御機構の解明
*能年 義輝白須 賢
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p. 0929

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抄録
我々はシロイヌナズナとトマト班葉細菌病菌DC3000(avrRpm1)株の植物-病原体モデル感染系を用い、ケミカルバイオロジー手法による抵抗性遺伝子依存性の病害応答機構解明を目指している。シロイヌナズナ培養細胞を利用したアッセイ法を確立して3種の化合物ライブラリー(約13,000品目)のスクリーニングを行い、防御応答の指標であるHR細胞死を抑制または亢進する化合物を多数単離した。
感染時特異的に防御応答促進作用を示す化合物は環境負荷の少ない植物免疫賦活農薬としての応用が期待されることから、現在その作用メカニズムの解明を行っている。単離された80以上のHR細胞死亢進化合物の中からその既知薬理作用や構造相関を基にして15化合物を選抜した。これらの化合物をシロイヌナズナ幼病に処理すると、全ての場合にPR1遺伝子の発現を誘導することが確認された。また、サリチル酸合成の必須酵素をコードするSID2遺伝子の欠損株を用いた同様の実験から、13化合物のPR1発現誘導能はSID2依存的であることがわかった。化合物処理後のサリチル酸含量の測定実験によりSID2依存性の13化合物はサリチル酸量を増大させることがわかった。これらの結果は、13化合物はSID2の上流に作用してサリチル酸合成を活性化させ、2化合物はそれ自身がサリチル酸様の働きを持つことを示している。
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© 2008 日本植物生理学会
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