日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネーシロイヌナズナFOX系統を用いたイネの誘導抵抗性に関与する新規因子の探索
*菅野 正治夏木 潤前田 哲森 昌樹廣近 洋彦松井 南高辻 博志
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p. 0931

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抄録
サリチル酸 (SA) シグナル伝達系は、双子葉植物のみならず単子葉植物のイネの誘導抵抗性においても重要な役割を果たしている。我々はこれまで、イネのSAシグナル伝達系が双子葉植物のものとはかなり異なることを示してきたが、その解析は端緒についたばかりである。今回我々は、イネ完全長cDNAをシロイヌナズナで過剰発現させたイネFOX (full-length cDNA overexpressor) 系統を用いて、イネのSAシグナル伝達系に関与する新規因子の探索を行った。
シロイヌナズナの生育はSA含有培地では阻害されるが、イネ完全長cDNAの過剰発現によりSAシグナル伝達系の活性化が増強されるなどの場合には、外性のSAに対してより感受性になると考えられる。そこで、約1万3千種類のイネ完全長cDNAを過剰発現させた約2万2千のイネーシロイヌナズナFOX系統を、SA高感受性を指標にスクリーニングし、96系統を選抜した。これらの系統から単離されたイネcDNAは、転写、情報伝達、脂質代謝、細胞内輸送など、多岐にわたる機能に関与するタンパク質をコードしていた。81系統について、SA誘導体INA処理の有無でのPR1遺伝子の発現パターンを解析した結果、3グループに分類された。現在、表現型の原因となるcDNAを過剰発現するイネを作製し、病害抵抗性への影響を調べている。
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© 2008 日本植物生理学会
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