日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キチンエリシターシグナル伝達過程に異常を示すシロイヌナズナ変異体の取得と解析
*宮 彩子矢元 奈津子川上 直人賀来 華江渋谷 直人
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p. 0956

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抄録
微生物分子パターン(MAMPsあるいはPAMPs)認識に基づく病原菌の検出は、植物の基礎的病害抵抗性において重要な役割を果たしている。MAMPsエリシターの一つであるキチンオリゴ糖は、シロイヌナズナやイネにおいて防御応答を引き起こす。我々はキチンオリゴ糖の受容・伝達機構の解析を進める中で、イネ原形質膜に存在するキチンエリシター結合タンパク質、CEBiPが細胞表面受容体として重要な役割を果たしていることを明らかにした1)。一方、CEBiPは細胞内ドメインを持たないと想定されたことから、細胞内へのシグナル伝達にはCEBiP以外の未知の因子が関与することが想定された。そこで、シロイヌナズナ遺伝子破壊系統を用いた逆遺伝学的解析により、この未知の因子の探索を進めた結果、新規な受容体様キナーゼ(Chitin Elicitor Receptor Kinase1CERK1と命名)がキチンオリゴ糖シグナル伝達で中心的な役割を果たしていることを見出した2)。一方、T-DNA挿入型変異体のスクリーニングという正遺伝学的アプローチにより、キチンエリシター応答性が低下あるいは消失した変異体が得られ、それらの表現型の解析及び原因遺伝子の探索を試みている。今回はこれらの変異体の解析を中心に報告する。1)Kaku et al., PNAS, 103, 11086 (’06); 2)Miya et al., PNAS, in press.
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© 2008 日本植物生理学会
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