抄録
熱帯低木キャッサバ(Manihot esculenta Crantz)は、アフリカ、東南アジア、中南米を中心とした国々で盛んに栽培される10億人もの人々の食糧源であるだけでなく、乾燥地、酸性土壌、貧栄養土壌での栽培が可能であることから、デンプン生合成や環境ストレスに関する研究対象として注目を集めている。我々は乾燥、高温、酸性土壌条件などの環境ストレスを与えたキャッサバ植物体を材料として完全長cDNAライブラリを作製し、約20,000クローンについての末端塩基配列情報(EST)を獲得した。得られたESTをアセンブルした結果に基づき、クラスタリングを行ったところ、約11,000種のキャッサバ完全長cDNAを同定した。これらの配列データについて、Gene Ontology (GO) term、代謝経路図への対応付け、非翻訳領域部の推定などの注釈付けを行った結果、デンプン生合成やストレス応答などに関連するキャッサバの特異性を示唆する情報を得た。配列データや上記のような情報は、進行中であるゲノム配列解読プロジェクトにも貢献するものである。我々が生産した情報をデータベース化し、公開する準備を進めており、その現状についても紹介する。