日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シングルコピー遺伝子の増加により誘導されるサイレンシング
*長屋 進吾新名 惇彦加藤 晃
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p. 1005

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抄録
導入遺伝子発現の不活性化(サイレンシング)は、染色体上への挿入位置、コピー数の増加、反復・欠失構造の形成、mRNAの過剰蓄積などがトリガーと考えられている。我々はCaMV35S- GUS遺伝子を導入した約120個体のシロイヌナズナ形質転換体から、導入遺伝子の反復・欠失構造を伴わないシングルコピー形質転換体を注意深く選抜した。得られた10個体の導入遺伝子はいずれもユウクロマチン領域に挿入されており、同程度の発現を示した。これらの形質転換体を用いて掛け合わせによりコピー数を増加させ、サイレンシングが誘導されるか解析を行った。4遺伝子座にヘミでCaMV35S- GUS遺伝子を持つラインを作出し、その自家受粉後代を解析した結果、1から5コピーまではコピー数に相関するGUS活性を示したが、6、7、8コピーではGUS活性は検出されず、サイレンシングが引き起こされた。このサイレンシングは、減数分裂でリセットされ、GUS遺伝子領域のDNAメチル化およびsiRNAが認められた。これらは転写後レベルのサイレンシングに特徴的な現象であるが、その一方でプロモーター領域のDNAメチル化およびDNaseI高感受性部位の消失が認められた。現在nuclear run-on assayにより、プロモーター領域のクロマチン構造の変化が転写レベルに与える影響を解析している。
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© 2008 日本植物生理学会
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