日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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苔類ゼニゴケにおける分子遺伝学の基盤整備II <簡便かつ高効率なアグロバクテリウムによる形質転換>
*石崎 公庸千代田 将大大和 勝幸福澤 秀哉河内 孝之
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p. 1014

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抄録
苔類は、現世陸上(有胚)植物の中で最も古く分岐したグループであり、植物の形態形成とその進化を考える上で重要なグループである。我々は、苔類ゼニゴケを用いた分子遺伝学の基盤整備のため、アグロバクテリウムを用いた高効率核ゲノム形質転換法を開発した。バイナリーベクターはT-DNA内にハイグロマイシン耐性(hpt)遺伝子とintron-GUS遺伝子を持つpIG121Hmを用いた。胞子発芽後7日目のゼニゴケ配偶体を、pIG121Hmを持つアグロバクテリウムGV2260株と共培養することにより、胞子嚢1個(直径1mm、約10万個の胞子を持つ)あたり数百個のハイグロマイシン耐性株が得られた。得られた形質転換体についてサザン解析を行い、1~5コピーのhpt遺伝子がゲノム中にランダムに挿入されていることを確認した。また調べた全ての形質転換体でGUS活性が確認された。今回開発されたゼニゴケ形質転換法は、胞子培養の開始から形質転換体の選抜まで、わずか3~4週間で完了する簡便な方法である。さらにゼニゴケは半数体なので、基本的に純系の形質転換体が得られる。様々な遺伝子コンストラクトの導入のみならず、T-DNA挿入変異株の大規模スクリーニングにも用いることが可能であり、原始陸上植物ゼニゴケを用いた分子遺伝学に大きく寄与すると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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