抄録
厄介な植物組織からのRNA抽出法を、CTAB法にAGPC法を組み込むことで確立した。サンプルをCTABを含む緩衝液で抽出した後、クロロホルム-イソアミルアルコール、AGPC処理を行うためのphenol mixture、クロロホルム-イソアミルアルコールの順で処理した。次いで、RNAをイソプロパノール沈殿で回収した。必要に応じて、高濃度の塩化リチウムを用いてRNAをさらに精製した。得られたRNAをフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコールで処理した後、イソプロパノール沈殿で再度回収し、RNA画分とした。この方法を用いることで、木本植物の葉(マツ、ドイツトウヒ、イチョウ、スギ、バラ)、花(バラ、ミヤコグサ)および貯蔵組織(ミヤコグサおよびイネの種子、サツマイモ、バナナ)から、タンパク質、多糖類やDNAの混入が少なく、インタクトでRT-PCRに使用可能なRNAを得ることができた。この方法により、種々の厄介な植物組織からのRNA抽出を、これまでの方法に比べ短時間で行うことができるようになった。