抄録
CO2は動植物を問わず生物にとって重要な役割を担っている。従来のCO2濃度の測定法では、細胞内の全体的な濃度はわかるが、局所的な濃度を計測することはできない。本研究では蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer:FRET)原理に基づき、生きた細胞内におけるCO2濃度分布や変化をその場(in situ)で検出するためのセンサー開発を行った。CO2ナノセンサー担体として、CO2と HCO3-に親和性を有するカーボニックアンヒドラーゼ(CA)、及びHCO3-に特異的に結合するラン藻ペリプラズム結合タンパクCmpAを用い、これらタンパク質を遺伝子工学的に蛍光タンパク質CFPおよびYFPで標識した。まず、ラン藻Synechococcus sp. PCC7942株のゲノムDNAからcmpA遺伝子をPCRクローニングした。CmpAの結晶構造に基づき、5'および3'末端を切り詰め、12種類の長さに改変したコンストラクトをデザインした。改変cmpAを、cfp及びyfpが含まれている発現ベクターに挿入し、大腸菌に形質転換した。IPTG誘導によりタンパク質を発現し、大腸菌細胞およびその破砕液を使って、蛍光スペクトル測定を行った。その結果、一部のコンストラクトでCFPのみを励起する400nmの励起光でCFP蛍光の発生を確認し、FRETが起きていることを確認した。