抄録
ゲノム上の塩基の位置に対して、生物のさまざまな情報を結びつけることによって、多元的な情報を統合的に、格納、整理、表示することが可能である。これは、Google Map/Earthなどでも利用されている地理情報システム(GIS)と同じ考え方であり、ゲノムにおいてはDAS (Distributed Annotation System)という仕組みが、EnsEMBL, SPICE, Gbrowseなどにより広く利用されている。我々は、ゲノムの位置情報上に文献情報やタンパク質機能アノテーションなどを、蓄積、統合、編集、共有、表示することができる「KazusaAnnotation」システムを開発している。現在このシステムにより、マニュアルキュレーションで文献情報と遺伝子の関連づけを行って、情報を蓄積している。今後、このシステムを公開して、実験研究者からのアノテーションへのフィードバックや、ユーザ同士の集合知の利用、個人の実験メモなどとしても使っていただく予定である。さらに、研究者間のコミュニケーションや知識共有を支援するシステムを開発している。これらのシステムは発見的な仮説デザイン、オミクス実験や個別の生物現象の解析を行う際の情報の統合、分析の助けになると考えている。