日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

疾病に関与する酸化ストレス産物としての反応性アルデヒド
*内田 浩二
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S0023

詳細
抄録
脂質過酸化物の特徴は、その多くが反応性に富むことであり、細胞内タンパク質の化学修飾が原因となって病変を誘起している可能性が示唆されている。そのため、酸化ストレスによる病変発症機構を理解するためには、こうした反応性活性種によるタンパク質の “翻訳後修飾”の詳細な分子機構の情報は極めて有用である。ケトアルデヒド、2-アルケナール、4-ヒドロキシ-2-アルケナールなどの脂質過酸化物と種々のタンパク質との反応を詳細に解析した結果、こうしたアルデヒド類は少なくともSH基以外にヒスチジンやリジンと反応し、芳香環などを有する特徴的な付加体を生成することを明らかになっている。また、これらのアルデヒドのタンパク質付加体についてはモノクローナル抗体が作製され、病態との関わりが示唆されている。このように酸化ストレスマーカーとしての有用性は確立されているものの、こうした修飾反応が直接病態につながるような事例はまだ知られていない。本講演では、こうした背景とともに、アルデヒドによるタンパク質の共有結合修飾が関わる疾病の探索に関する我々の最新のアプローチを紹介したい。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top