日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ気孔開閉応答変異株を用いた植物のCO2応答メカニズムの解析
*祢宜 淳太郎橋本 美海松田 修射場 厚
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p. S0036

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抄録
植物は、体表面の気孔からCO2を取り込み、光合成を行う。明条件や低CO2環境では、効率よく光合成を行うために気孔を開き、また乾燥条件下では、余分な水分の放出を抑えるために気孔を閉鎖させる。CO2は炭酸同化の基質以外にも、環境変動に適応するためのシグナルとして作用することが示唆されているが、これまで、CO2シグナルを感知し、その情報を気孔開度などに反映させるメカニズムについて、ほとんど明らかにされていない。われわれは、気孔開閉にともなう蒸散率の変化に着目し、サーモグラフィーを用いた葉面温度の画像化を通じて、CO2応答に異常を示すシロイヌナズナ突然変異体のスクリーニングを行った。ht1は、低CO2条件でも高い葉面温度を示す変異体として単離され、CO2応答性のみを特異的に欠損している。原因遺伝子は葉組織で気孔特異的に発現する新規のプロテインキナーゼであり、CO2に特異的なシグナル伝達経路が存在することを示唆している。またcdi3は高CO2による気孔閉鎖が阻害された変異体であり、その原因遺伝子は気孔の細胞膜を介したアニオン輸送に重要な役割を果たすS-typeのアニオンチャネルである可能性が示唆された。本発表では、これらの変異体の解析から得られた知見に基づいて、植物のCO2感知機構について議論したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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