日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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窒素栄養によるサイトカイニン代謝制御はどこまでわかったか?
*榊原 均信定 知江武井 兼太郎
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p. S0037

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抄録
植物は土壌中の不均一かつ可変的な養分分布に対し、それらを効率的に吸収・同化できるよう根系の代謝や形態を変化させている。このような適応は、外環境変化の指標となる外来シグナル分子もしくは体内シグナル分子の受容→シグナル伝達系を介しての標的遺伝子・タンパク質機能のコントロール→代謝機能や形態の変化、という一連のスキームの上に成り立っている。ただし植物生長に影響を与える環境因子は複雑かつ膨大であり、これらすべてのスキームを包括的に理解するには至ってはいない。しかし近年、シロイヌナズナの分子遺伝学を基盤にした研究から、栄養状態の指標となる体内シグナルとして、従来の代謝中間体に加えサイトカイニンなどの植物ホルモンが重要な役割を演じていることが明らかにされた。サイトカイニンの活性は、IPTによる前駆体の合成、P450によるゼアチン型への変換、LOGによる活性化や、CKXなどによる不活性化反応が複雑に絡み合うことで調節されている。本講演では、植物体の需要量が大きくかつ土壌中で不足しやすい窒素栄養に対する植物の応答と適応戦略について、サイトカイニン代謝系の制御機能の最新の知見とともに解説する。
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© 2008 日本植物生理学会
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