日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞形態と紡錘体伸長の関係―シロイヌナズナの根端を用いた解析―
*林 朋美米田 新松井 南朽名 夏麿佐野 俊夫馳澤 盛一郎
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p. 0020

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抄録
染色体は分裂期に紡錘体によって分配される。動物細胞での研究から、分裂後期の染色体の移動は紡錘体微小管の動態を反映して二つの過程からなることが知られている。一つは動原体微小管が短縮することによって染色体が極方向へ移動する後期Aであり、もう一つは重複域微小管同士の押し離しと星状体微小管の引き離しによって両極が離れることにより染色体が移動する後期Bである。酵母や動物細胞においては、染色体移動時に後期B、つまり紡錘体伸長が明確に観察され、その機構も明らかにされてきている。一方で高等植物細胞では紡錘体の伸長過程については統一した見解がない。我々はこれまでに、タバコ培養細胞BY-2を用いて微小管と染色体を可視化した細胞株を作出し、後期紡錘体の伸長距離の測定を行った。その結果、紡錘体伸長による染色体移動への寄与が明確に示された。そこで本研究では、紡錘体伸長が細胞形態に影響される可能性の検証を目指した。BY-2と同様に微小管と染色体を可視化したシロイヌナズナ植物体を作出し、根端の各組織毎の細胞における紡錘体の伸長距離を測定した。細胞サイズと紡錘体の伸長距離との関連性を示すとともに、紡錘体伸長の制御機構を考察したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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