日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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転写因子による細胞分化誘導系を用いた後生木部様二次細胞壁形成制御機構の解析
*小田 祥久飯田 有希山口 雅利出村 拓福田 裕穂
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p. 0025

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抄録

道管を構成する細胞である管状要素には、植物の発達段階に応じて適切なパターンの二次細胞壁が沈着する。我々は、転写因子VND6を利用した細胞分化誘導系を独自に開発し、後生木部様の二次細胞壁パターンの形成機構を解析している。今回、表層微小管や、アクチン繊維に着目して解析を進めた結果を報告したい。この分化誘導系では、網紋や孔紋様の二次細胞壁が高頻度かつ同調的に形成されるが、表層微小管は二次細胞壁が形成される領域にのみ観察された。より詳細な観察を行ったところ、二次細胞壁が形成されない領域では、表層微小管が速やかに脱重合およびスライドを起こしていることが判明した。アクチン繊維の脱重合処理を行ったところ、このような微小管の分布は阻害され、二次細胞壁のパターンが失われた。興味深いことに、アクチン繊維を脱重合すると同時に微小管脱重合阻害を行った結果、比較的正常な二次細胞壁パターンが形成された。アクチン繊維は二次細胞壁と共局在を示さなかったことから、アクチン繊維による間接的な表層微小管の制御が二次細胞壁形成に必須である可能性が示された。以上の結果から、二次細胞壁パターンの制御機構に関して考察する予定である。

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© 2009 日本植物生理学会
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