日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペルオキシソームタンパク質輸送に関与するシロイヌナズナAPM9遺伝子の解析
*後藤 志野真野 昌二中森 ちひろ西村 幹夫
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p. 0031

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抄録
高等植物のペルオキシソームは脂肪酸代謝や植物ホルモンの生合成、光呼吸といった代謝系を担う重要なオルガネラであり、その機能は外的環境の変化や植物組織によって転換し得る柔軟性を備えている。ミトコンドリアや葉緑体とは異なり、ペルオキシソームは独自のゲノムを持たないため、ペルオキシソームの機能、形態維持に必要な遺伝情報は全て核にコードされている。すなわち、ペルオキシソームの柔軟な機能制御には、サイトゾルで合成されたペルオキシソームタンパク質が正確にペルオキシソームへ輸送される機構が必須である。この一連のペルオキシソーム形態形成を担う因子を明らかにするため、我々はシロイヌナズナaberrant peroxisome morphologyapm)変異体のスクリーニングおよび解析を行ってきた。
apm9変異体はペルオキシソームタンパク質輸送効率が低下する変異体として単離された。マップベースクローニングにより原因遺伝子を同定したが、APM9遺伝子は植物ゲノムにのみ保存された機能未知遺伝子であることが明らかとなった。さらに興味深いことに、APM9ノックアウト株は胚性致死を示し、このことからAPM9遺伝子が種子形成において重要な役割を担うことが示唆された。今回は、ペルオキシソームタンパク質輸送におけるAPM9遺伝子産物の機能について報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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