日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペルオキシソーム局在異常変異体の成長解析
*及川 和聡上田 晴子真野 昌二林 誠難波 千営子近藤 真紀西村 いくこ西村 幹夫
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p. 0032

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抄録
シロイヌナズナ葉肉細胞内においてペルオキシソームは葉緑体近傍に局在する。我々はこの現象を明らかとするためにペルオキシソーム局在異常変異体 (peup: peroxisome unusual positioning mutant) を複数単離した。葉肉細胞内においてpeup1ではペルオキシソームが凝集を示し、peup4では葉緑体から離れ細胞質中を浮遊しており、いずれも葉緑体との接着機構に欠損が生じていると思われた。また、ペルオキシソームの運動に関与するミオシン変異体を用いて解析を行ったが葉緑体との接着機構には影響は見られなかった。これはアクチン繊維を重合阻害剤で破壊したときの結果と一致する。現在までにペルオキシソームと葉緑体との接着機構の役割については明らかになっていない。今回我々はpeup1、4とミオシン変異体を用いて強光条件下での成長解析を行った。野生株と比較してpeup1、4いずれも光強度に応じた障害が観察され、クロロフィル量の減少と光合成効率の低下が生じた。また、一過的な強光(1200μmolm-2s-1)では葉の白化が生じ障害が顕著となった。他方ミオシン変異体に関しては野生株と同じかもしくはそれよりも強光耐性をもつことが示唆された。これらの結果はペルオキシソームと葉緑体との接着が光合成効率に関与しており、接着機構が植物の環境適応において重要であることを示唆した。
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© 2009 日本植物生理学会
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