日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高輝度LEDと遺伝子操作を活用した植物ポリフェノール類の増強
*小川 剛史舟戸 菜々村上 由規子丹羽 康夫清水 正則榊原 啓之閔 俊哲豊岡 利正中西 幹育小林 裕和
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p. 0071

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抄録
機能性成分は特定の植物種あるいは品種に高濃度に蓄積されているが、それらの前駆体は高等植物に共通の代謝経路より供給される。近年、発光ダイオード (LED) の植物工場への利用が進められているが、各種代謝経路に介在する酵素の遺伝子発現および成分の蓄積に対してLEDの効果に関する情報は乏しい。110-240μmol m-2s-1の青色LED (470 nm)、赤色LED (660 nm)、青色LED+赤色LED、および青色LED (パルス光) をシロイヌナズナに照射し、DNAアレイ解析 (Affymetrix GeneChip Arabidopsis ATH1) およびメタボローム解析 (Agilent 6510 Accurate-Mass Q-TOF LC-MS/MS他) を行った。メタボローム解析においては、ブロッコリーおよびレッドキャベツも使用した。その結果、青色LED照射で遺伝子発現が増大する酵素としては、リグナン・フラボノイド類の生合成系に介在するものが顕著であり、ケンフェロール配糖体および複数種のアントシアニンの含量が増大した。一方、赤色LED照射で遺伝子発現が増大する酵素としては、サポニン類の生合成系に介在するものが顕著であった。さらに、カルコン合成酵素遺伝子 (AtCHS) を強制発現したシロイヌナズナにおいてはケンフェロール配糖体の増大が認められた。
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© 2009 日本植物生理学会
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