日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナアクアポリンSIPの発現誘導条件からみた分子生物学的機能解析
*榊原 里恵宮本 恭輔玉置 雅紀西川 周一前島 正義
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p. 0084

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抄録
シロイヌナズナアクアポリンの1つのグループであるSIPに関して、ERに局在し、3つの分子種は組織特異性をもち、SIP1;1とSIP1;2は水透過能をもつが、SIP2;1は水透過能をもたない等の知見が得られている。しかし輸送基質も含めて生理学的機能は不明である。そこでSIP遺伝子の発現誘導条件を検討することから機能解析を試みた。データベースでは、エチレン作用阻害効果のある硝酸銀で処理するとSIP1;2の発現量は約6倍に増大する。また、エチレン受容体がER膜に局在していることも考慮した。また、人為的なERストレスや他のストレスがSIP遺伝子の発現レベルにどのように影響するかを検討した。
エチレン作用阻害剤効果のある硝酸銀あるいはチオ硫酸銀で処理した植物ではSIP1;2のmRNA量はそれぞれ1.5倍、3倍に増大した。しかし、エチレン前駆体であるACCを与えても顕著な応答見られず、エチレン非感受性変異株あるいはエチレン過剰生産株におけるSIPの転写量は野生株と大きな差が見られない。SIPはエチレン作用に直接リンクしないと推測した。糖鎖付加阻害剤ツニカマイシン処理ではSIP1;2のmRNA量はわずかに減少し、パラコートや銅、亜鉛などに対して各種SIP転写量は不変であった。したがって、SIPは組織特異性があるが構成的であり、銀イオンなど特殊な刺激にのみ応答すると判断した。
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© 2009 日本植物生理学会
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